段差のある敷地に建つ家

広島県安芸郡|K様邸


敷地面積 | 530.73㎡(160.54坪)

延床面積 | 119.65㎡(36.19坪)

完成年月  2023年12月


出会いはSUUMOカウンターからのご紹介

Kさんとの出会いはSUUMOカウンタ―のご紹介から。
僕自身は、殆どフリーでの展示場の新規のお客さまの接客には出ませんが、SUUMOカウンタ―からのご紹介のお客さまについては接客に出るようにしています。
こういった相談窓口からのご紹介で住宅会社を絞る方も、最近はとても増えてきています。
相談窓口を使って家づくりを進める方法については、正直賛否両論あります。これについては、コチラの記事で詳しくご説明しているのでご覧いただけたらと思いますが、僕自身としては条件付きで肯定的な立場です。
話を戻しまして、Kさんからの出会いはSUUMOカウンタ―のご紹介からです。

ご計画のヒアリング

僕は初回接客時、まずは「どのような家づくりのご計画か?」「どのような家を建築することを希望されているか?」「家づくり計画の中で重視されるポイントは?」といったご質問していきます。商品説明は勿論、モデルハウスのご説明も殆どしません。家づくりは「良い家」を建てるという価値基準ではなく、自身に「合う家」を建てることが満足度に直結すると考えるからで、お客さまのご希望に近いイメージの建築実例、お客さまの環境に近い状況での家づくりを行った建築実例をごいただきながら、家づくりへのイメージをまずは共有します。


ご実家の横の、親御様所有の敷地への新築のご計画ですが、その敷地は現状は田畑。更に面積は広いものの地型や地形が特殊。その場で「こういった建物が建築できそうです!」という話ができる状況ではなく、”プランニングの前段階の詳細の調査が必要だな”という予感。

SUUMOカウンタ―さんの通常の流れとしては、お施主さまに合うと思われる住宅会社を4社程度紹介。2社程度に詳細のプランニングの依頼をする(恐らくアドバイザーさんから、そういう流れをおススメされている?)感じなので、初回ミーティングの終盤に、「詳細のプランニングをご希望されますか?」とのご質問に「お願いします」と仰っていただいたので、詳細プランニングに進むこととなりました。

段差のある敷地

Before

まず、かなり特徴的な敷地の状況からです。

この敷地を見た瞬間…かなりワクワクしました(笑)

  • ご実家の隣の奥地にある敷地(接道・給排水の引込大丈夫?)
  • 現状畑(農地転用が必要かな…地盤の状況は悪いかも?)
  • 東側隣家は新しい複数の分譲住宅・南側隣地は新しそうな賃貸住宅と西側はその駐車場(境界はしっかりしてそうかな? ➡ 実際はしていませんでした)
  • 東側隣地(左側)が段上で朝日はあまり期待できない(段上の敷地左側に直射が当たってないです)
  • 南側隣地からの視線が気になる
  • 何より…敷地内に60㎝の段差がある(造成費用がかかりそう…)

この敷地状態から、色々なパターンの計画が考えられます

パターン①|低い段の敷地部分だけに家を建てる

敷地の写真をご覧いただくと気づかれると思いますが、左側の高い段の敷地部分には直射日光が当たっていません。
それもそのはず、画面向かって左側が南、正面が西、右が北で、南側である左側隣家が結構段上になっており、更に敷地ギリギリにビッチリ建っているので、段上の敷地は日当たり的には最悪です。
ということで、隣家との距離が取れる右側の低い段の敷地部分だけに家を建てると日当たり的に有利では?という計画です。
しかしながら、このパターンでは幾つか問題があります。

  • 周囲よりも段下の敷地になる(見下ろされてしまう)
  • 給排水(特に排水)が上手くいかない(40m先にある前面道路よりも敷地が低くなってしまうため。水は下から上に流れません…)
  • 前面道路から全く見えない家になってしまう(これ自体は大きな問題ではないのですが、気分的に)
  • 左側の高い段の敷地部分が完全に死んでしまう(暗い・湿気が溜まる ➡ 家庭菜園に向かない。隣家から見下ろされる ➡ お庭としても不向き)
  • 南側に大きな窓を取っても、容易には段上の南側隣地の視線を切れない

まだまだありますが、結構問題点(デメリット)が多いです。
特に給排水が上手くいかないのが致命的で、結局段上と同じくらいかそれ以上敷地に土を入れて地盤面を高くしないと家の建築自体が難しい、という事になりコスト的にも一番高くなりそうです。

パターン②|低い段の敷地部分を高い敷地部分の高さまで土を入れる

一番オーソドックスな考え方です。敷地の上の段と下の段の間の擁壁を壊して、ご実家との境界に土留めブロックを施工した上で低い方に土を入れて段差を無くす方法です。
パターン①に比べると問題点は少なめです。

  • コストがかかる
  • 面白味がない

実質、コスト以外は問題がないので、この方法が順当だと思います。造成工事が一番コストがかかる工事なので、この工事の量をいかに減らすかが全体コストを下げるポイントだったりもします。

パターン③ | 敷地形状なりに建てる

Kさま邸において僕が選択したのはこのパターン。 なるだけ形状変更(造成工事)を減らして、高基礎(建物工事)で段差を解消する方法です。
当然、問題点はいくつかあります。

  • 相互の高さ・給排水設備の位置の検討がデリケート
  • 間取りの制約

何度も土木屋さんや現場監督と打合せを重ねてベストな高さ設定や施工方法を検討しました。

FACADE|外観

After|一目では段差があるようには感じない(右に行くにしたがって傾斜になって下がっているので段差を感じるくらい)
奥地に建つ家で道路からは玄関まわりしか見えないので、玄関まわりの意匠性にはこだわった
キッチリ全面に土を入れるのではなく、小山に建つ家となるイメージで斜面をつくり芝山仕上げに。基礎を掘った時に出た土も再利用しつつ、土留めブロックも無しで造成をなるだけダイエットした仕上げ

INTERIOR|インテリア

濃い目の木の色に黒やグレーをと見合わせた落ち着いた大人インテリア。タタミスペースとリビングの間に間仕切りがないかわりに床と天井に段差を設けて緩く空間を仕切りました。 リビングは、大きな吹抜けを設けるだけでなくピットリビングとして床を下げることでより開放的な空間に
西日はカップボードの上からのみ取り込む採光計画
主として北側(左側)からの光をメインとして、東(奥側)と西(後ろ側)の光を補助光として取り込む計画ですが、全体としてちょうどいい明るさです。 奥の大きな窓の先にあるのはご実家で、周囲の建物の存在は360度全く感じずカーテンレスでの生活が可能です
キッチンの横から洗面室、ランドリースペース兼脱衣室、浴室と繋がる水まわり動線で、洗濯動線は1階で完結する計画
内外の繋がりをしっかりと持たせることで、リビングがより広く感じられる
ふとした瞬間に自然と目に入る切り取られた景色
地窓でデッキとの繋がりをつくり、窮屈に感じないよう配慮した玄関スペース
リビングとお庭を繋ぐしっかりと軒を出したデッキスペース

造成費用をいかに抑えるか

住宅建築において、家以外に必要な費用として見落としがちなものとしては造成費用・給排水引込費用・登記関係(特に境界確定)費用などありますが、特に高額になりがちなのが造成費用。外構屋さんに一括でお任せすることもできますが、土木屋さんに直で依頼した方がコストをグッと抑えられるのでおススメです。ただし、土木屋さんと本体工事(基礎屋さん・水道屋さん)・外構屋さんの連携が取れてないとチグハグになってしまうので要注意です。

なるだけ造成工事の範囲を最小限に、コストがかからない業種の方に依頼することで、トータルコストをグッと抑えることができます。

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    この記事を書いた人

    住宅の基本設計と営業をする人|失敗しない家づくりのコツを発信|たまに写真や日常について|職歴:地場HM(大手HM・設計事務所勤務経験有)|実績:建築150棟・内基本設計100棟|1棟1棟丁寧に家づくりをさせて頂いております|間取り相談や家づくり・住まいについてのご相談は気兼ねなくご連絡下さい。

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