間取りから考え始めてはいけない理由|同じ間取りでもできるコトと限界

こんにちは! T.Nakataです!

家づくりプロセスで一番楽しい瞬間はいつでしょうか?
キッチンのショールームを見学に行く時? モデルハウスを見学している時?
色々だと思いますが、間取りを考えている時が一番楽しい(楽しかった)と感じる方も多いのではないでしょうか?

お建て替えの計画の方の中でご自身で考えられた間取りを握りしめて住宅展示場に来場される方、
ご希望の土地が見つかって間取りについてあれこれと夢を膨らませていらっしゃる方、

「間取りの手本」とか「最高に〇〇な間取り集」とか、本屋に行くとホントに色々な「間取り」を目にすることができ、「回遊動線が良い!」とか「水まわりはまとめたい!」とか、間取りについてのご希望は、どんどん膨らんで来ますよね。

また、具体的なご検討段階の方で、数社で相見積もりをされている方

これは、住宅会社側の責任も大きいのですが、

間取り|サイズ感|価格

打合せを重ねるうちに、どの建築会社が良いのか決断を下すのに、この3つで頭の中がいっぱいになってしまう

方が一定数(?結構?)いらっしゃいます。

確かに、家づくりにおいて間取り・サイズ感・価格は大事ですが、ここだけに集中してしまうと非常に危険です。

このモードに入ってしまった方は、(無意識の間に?)全ての住宅会社の間取りがよく似た感じになり、金額が一番安い会社に決めました。と言った結末になることが多いです。

極論、

間取りはA社が良い、金額はB社が安い。ならA社の間取りをB社に渡して安くできたら最強!

といったマインドに入る方もたまにいらっしゃいます……が、断言します。 その家づくりはホボ100%失敗します…。

他社が考えた間取りでも、大体は模倣することはできます。ただ、他人がその間取りをどのような意図で考えたか?までを読み解くことは困難なので、それが正解かどうか?は他社の間取りを見てもわかりません。

どういうことかと言うと、間取りと金額は家づくり計画の中では重要ではあるものの、家づくり全体で言うと項目の1つでしかありません。

間取りが一緒でも、完成した家が全く別物!
B社が安かった理由はここだったのか…と気づいたのはもっと具体的な打合せが進んでから(下手したら家が建ってから)

といった事にもなりかねません。

【家づくりのプランニングで重要な項目】
① 間取り
② 構造
③ コスト
④ 意匠(デザイン)
⑤ お施主さまと間取りの相性
⑥ ①~⑤のトータルバランス

家づくり計画において皆さん間取りに目がいきがちですが、良い設計者(能力のある設計者)は以上の⑥つを「平行して」考えます。

間取りを考えた後にデザインを考えても意匠性の高い良い家は中々できませんし間取りを考えた後に構造やコストのことを考えても手遅れです。

間取りができたから、
良い感じで外観とインテリアを考えておいて!

たまに、こう言った感じの指示をプランナーに出す設計者(プランナー?営業?)が居ます。

…完全にNGです。

間取りをまず考えましょう!
外観はどうにでもなりますから!

と言ったことを耳にしたことも1回ではありません。 …一体どうなってるのか?プロの(一部?の)設計者たち…。

間取りが同じでも、ある程度はデザイン・住みやすさ・快適な家づくりのノウハウを取り込むことはできますが、限界があります。

…ですが、最低限?ある程度はデザイン(リカバリー)できます。

逆に言うと、同じ間取りでもこれだけ仕上がりが違うかもしれない?とも言えます

間取りを作る上手さはプランニング能力の一部でしかありません(何度でも良います)。

プランニングが上手な設計者・下手な設計者(意識が低い設計者も含む)による家の差は、具体的な打合せに進めば進むほどドンドンどんどん開いていきます

ですので、

どんなにコスト・コスパが良さそうでも(ご自身にとって)間取り提案力がイマイチな住宅会社に決めない。
間取り提案と同時にある程度の外観・インテリアデザインを提示してくれない住宅会社に決めない。
構造(耐久性・耐震性・断熱性)についての考え方を説明できない(しない)住宅会社に決めない。

という強い意志を持って家づくり計画を進められると、家づくり計画を失敗する可能性がグッと下がります

ココからは、これまで述べた内容を具体例を持ってご紹介します。

目次

同じ間取りでもできるコト

本来、間取りが完成してから外観やインテリアのデザイン、住みやすさなどを考えるのは手遅れですが…。

1F
2F

8×8マスの教科書に載っているようなシンプルな間取りです。
構造的にもバッチリ、窓もしっかり。収納力もそれなりに〇。水まわりもコンパクトで最近流行りの室内干しスペースも確保。総2階なのでコスパも抜群!
(ゴメンなさい、玄関からシューズクロークへの扉をつけ忘れました笑)

ですが、意匠(デザイン)的にはとっても悩ましい感じです。

…申し訳ないです。
「これの何が悪いの?」と思われたかもしれません。反射的に最低限のデザインは施してしまうので、何となく「こんな感じだよね」とった仕上がりにはなってしまいましたが…間取りを立体に立ち上げるとこんな感じです。

これが、同じ間取りをベースに意匠(デザイン)を施すとこんな感じになります。

1F
2F

間取りは一緒です。袖壁や窓の大きさ・数・配置は調整していますが、一般の方がパッとご覧いただいただけでは、差を感じることは少ないのではないでしょうか?
(玄関からシューズクロークへの扉はコチラはちゃんと付けました笑)

外観デザインについては、好みも関係してくるので割愛します。
その他、上から変更した部分についてご説明します。

  • リビングの窓を拡大(構造的にはマイナス)
  • その他、窓の位置・サイズ・高さを変更。隣家からの視線をカット
  • リビングに袖壁を出してウッドデッキを設置。リビング内外の床と壁の繋がりを出して広がりを感じるように
  • 扉の高さを変更。垂れ壁や枠を無くしてスッキリとした印象に
  • ポンと出しの玄関庇を大型庇に
  • インテリアカラーを絞ってシンプルな見え方に
  • テラスをウッドデッキに変更。LDKの床と張り方向を揃えて一体感が出るように

…以上です汗

僕のブログ内でご紹介しているノウハウを色々つぎ込んでいますが、間取りができた後に施せることはそこまで多くありません。
不思議と逆に、デザインを考えながら作った間取りをベースにダサくするのは凄く簡単なんですけどね…笑

完成した間取りをベースにデザインしようとする時の限界

パースの作り込みが違うので卑怯!と言う反論は認めます笑

さておき、想定している敷地の広さは幅15m×奥行12mの約54坪の整形地で南側道路の敷地。
同じ敷地で同じご要望に対してこのようなプランの提案をすることができます。

  • 南側道路を活かしたワイドな窓計画
  • 目隠しフェンスでプライバシーの守られた前庭
  • リビングとフラットに出ることができるタイルテラス

などなど、1・2階にある部屋の数・広さは同じでも全然違う仕上がりになります。

これは、間取り・外観デザイン・インテリアデザイン・外構計画・素材の検討・構造の検討などを平行して行うからこその差から生まれてきます。

結論|やはり間取り(だけ)から考えるのはNG

良い設計者は、間取り・意匠(外観・インテリアデザイン)・構造・コスト・全体のバランスを平行して考えます。
間取りを完成させてからの意匠設計や構造設計、コスト管理は難しいです。
間取りが良くて予算内なのでOK! 
ではなく、内外観の細かいところまでしっかり考えられているか?構造的に大丈夫か?コストは大丈夫か?など、全てをしっかり提案を受けられてから、全てをキッチリと比較して住宅会社を決定するようにしましょう。

家づくりのご相談

家づくりに関するご質問・ご相談は気兼ねなくご相談下さい。(広島・山口県岩国エリアの方につきましては、家づくりのプランニングのご依頼も承ります)

エラー: コンタクトフォームが見つかりません。


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この記事を書いた人

住宅の基本設計と営業をする人|失敗しない家づくりのコツを発信|たまに写真や日常について|職歴:地場HM(大手HM・設計事務所勤務経験有)|実績:建築150棟・内基本設計100棟|1棟1棟丁寧に家づくりをさせて頂いております|間取り相談や家づくり・住まいについてのご相談は気兼ねなくご連絡下さい。

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