広島市安佐南区|T様邸
敷地面積 | 185.68㎡(56.16坪)
延床面積 | 100.19㎡(30.30坪)
完成年月 | 2023年12月
エピソード
Tさん邸は、ひろしま子育て情報サイト「pikabu(ピカブ)」さんでご紹介頂きました!
お施主さんの目線での家づくりのプロセスやご感想を頂いてますので、是非こちらもご覧ください!
ある日Tさんから「気に入った土地が見つかったのでプランニングをお願いしたいのですが?」というご連絡をいただきました。
有難いことに、僕はこういったお声がけをいただくことが多いです。
土地の詳細情報をいただき、地図を見ながら現地に到着。するとビックリ!
景色良すぎ…!
Tさんも、この眺望に一目惚れでこの土地を検討されていらっしゃるとの事。もちろん、これだけ尖った特徴のある土地、これを活かさない手はありません。
ただ、何故か「ここじゃないんだけどなぁ…」という場所に駐車スペースが綺麗な擁壁で切り込んであったり、敷地が扇形の形状をしていたり、資料上の敷地面積は50坪を超えていますが、実際に使える面積(有効面積)は41坪と割合コンパクト。2台駐車スペースとお庭を取ると、割と余裕がない敷地条件ですが、その分プランニングし甲斐がある土地です。
Tさんからのご要望
奥さんが出産直前であったこともあり、旦那さんが主に窓口でお打合せに参加されていました。奥さんはZOOMでの参加や、旦那さんに「希望リスト」を託されてのお打合せです。
主だってのご希望としては…
・ リビングでのんびり過ごしたい
・ ものが多くても、見えないようなつくり
・ 景色を楽しみたい
・ 天気がいい日は窓を開けて風を通したい
・ 庭で水遊び・土遊びとかをしたい
・ 掃除が楽な家
・ 広く見えるリビング
・ ピアノを弾きたい
・ 水まわりは近くに集まっていて欲しい
という感じでした。
とても良い希望の伝え方だなぁ…
と感じたのは、「〇〇をしたい」という「コト」を重視したご要望の伝え方で、「■■の部屋を何帖欲しい」という「モノ」としての希望が殆ど無かったので、プランニングの制限を殆ど受けず自由な発想で取り組ませていただけました。
敷地の状況
先述の通り、ハイライトは何と言ってもこの景色!左端と右端に割合近めの建物があり、中央部は抜け感たっぷり。敷地の有効面積は41坪で変形地(扇形の土地)という事で、面積的に余裕があるわけではないので、ガッツリ建物を斜めに配置するのは難しそう。そこで、なるだけこの中央部の眺望を込みつつ左右の視線を切れるような窓計画・配置計画をしたいところです。
一方、東側隣家は結構ギリギリまで建売住宅が建築されていて、しかも大きな窓や勝手口があるので人の動きもありそうです。道路側(北側)は斜面の上の家から見下ろされる関係にあります。
設計コンセプト
敷地のキャラクターはハッキリしていますので、その特徴である眺望をお施主さまが「いつ」「どこで」見たいかがポイント。
「リビングでのんびり過ごしたい」
というお施主さまのご希望をもとにリビングからの眺望を第一に、玄関エリア・何気ないひと時に景色が目に入ってくるようなプランニングをしたいところです。東側と西側には隣家の割合大きな窓があるので、この際東西方向はバッサリ切り捨てて窓無しでも良いかな?と初見で感じました。
ラフプランのリビングのパース。
吹抜けを利用しつつ東西の建物の視線をカットする計画です。ただ、この土地に吹抜けは不要かな?ということで…
セカンドプランでは吹抜けを無くしました。この時点でほぼほぼ最終形と同じ感じに。ただ、
玄関エリアにも結構力を入れてプランニングしましたが、「この階段を上った先にピアノを置く」よりも、「リビングにピアノを置きたい」というご要望が強くなり、この案は不採用になりました(残念)。
外観デザイン
黒い外壁でご提案しておりましたが、お施主さまのたってのこだわりの「グレーで無機質な外壁材」が印象的な外観デザイン。玄関庇を拡張して水平ラインを強調することで安定感が増した箱型の家です。西側(右側)に衝立壁を立ち上げ、西側安心感&安定感を出しました。
インテリア
先述の通り、割と早い段階でLDKのデザインは決まっていました。切り取る景色も予定通り。キッチンで作業している時に見える景色はとても良いです!
問題の玄関エリアには、抜け感と奥行き感を大事にして大きなFIX窓を設けさりげない中にもこだわりの詰まった空間に。下駄箱下に間接照明を設け、玄関ポーチとホールの天井の照明はグレアレスダウンライトにすることで、空間全体の光量と光が当たるエリアを絞り、1日中奥の坪庭を楽しむことができます。
「東西面は窓無し」と割り切ることで、周囲の視線をカットすることができました。インテリアは外観と打って変わってナチュラルな柔らかい印象に。床はオーク(楢)の無垢床です。
「ものをしっかり隠したい」という奥さんのご要望から、壁面収納とクリナップさんのデュアルトップ対面キッチンを採用。スッキリした雰囲気ながら、かなりの収納力です。
家事負担を最小限にするため、とにかく1階の収納力にこだわり。洗面室の背面収納の横には階段下まで取り込んだファミリークローク。
「お子さんに水遊びをさせたい」というお庭。非日常的な景色が広がります。
まとめ
お引渡しの時に奥さんから「大手ハウスメーカーの気に入った土地があって、そこで建築しようと思っていたけど予算オーバーで…」「この土地を見つけた時もその大手ハウスメーカーに相談したけれど、2階リビングでしかも凄く小さい家の提案が出てきて…」「困っていた時に僕のことを思い出して、インスタや実例集を見てお願いしてみようという事になって問合せました」とのお話を頂きました。ご提案を受けられた後は「コスト感・デザインともに満足できる内容だったので、他を検討することもなく1社だけで検討することにしました」とのこと。僕から見ると、「土地が見つかった時点でご相談頂き、相見積もりもなくスムーズにご計画が進んだ」と感じておりましたので、そう言ったプロセスがあったとは初耳でした。このように他メーカーで上手く行かなかったところをプラン力でカバーできた、という事例は僕自身とても励みになりますし、プランニング力を自分の強みにしている僕としては、自信を深めるとてもありがたいお言葉でした。
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