屋根の勾配と屋根材の関係|流行の緩勾配と安定の並勾配と特徴的な急勾配

住宅の外観デザインの印象を決める要素の一つに「屋根」があります。

写真のような「片流れ屋根」をはじめ、寄棟・切妻・差し掛けなど、色々と屋根のかけ方があります。

が、今回は「屋根の勾配」に焦点をあててみようと思います。

 

屋根勾配の表現の仕方|寸法勾配(尺貫法勾配)

昔の長さの単位に、「尺(しゃく)」や「寸(すん)」といったものがあります。「1尺」は30.3cmで、「1寸」は10分の1尺=3.03cmです。建築業界では、3尺=910cmを基本のモジュールとして計画する会社が多いので、重要な単位と言えます。

屋根の勾配を示すのにも、「」を使用することが多いです。

「1寸勾配=水平方向に10行ったら1垂直方向に上がる勾配」で、1寸勾配は約5.7°となります(これは覚えなくて大丈夫です)。

 

屋根勾配によって使用できる屋根材が変わる

意外と気にされないポイントかと思いますが、屋根材によって屋根勾配に制限が設けられています。

一番厳しい制限を受けるのは瓦屋根で、厚みがある瓦を重ねることで屋根勾配に対して瓦そのものの勾配が緩くなってしまう関係で、4寸勾配が最低勾配とされています。

次に厳しい制限を受けるのは、スレート屋根。いわゆる「コンクリート瓦」とか「コロニアル・カラーベスト」と呼ばれている屋根材で、瓦屋根に比べ薄く軽量なので、瓦屋根よりは緩い勾配で使用可能です。3寸勾配が最低勾配です。

一番緩い勾配が許されるのは、金属屋根(ガルバリウム鋼板など)です。デザイン重視の住宅会社なら0.5寸から…一般的には1寸勾配から使用することができます。

 

① 急勾配(6寸勾配)以上の屋根

主に洋風な家でデザイン性に凝った家に多い急勾配屋根。水が溜まらないので雨漏れリスクが少なくなる、小屋裏スペースをしっかり確保できるため断熱性能を向上させやすいなどメリットは大きいですが、屋根の面積が大きくなり、施工も大変な分コスト高になるのがデメリットです。

※ 6寸勾配/瓦屋根

 

② 並勾配(3寸~5寸勾配)の屋根

一般的な屋根勾配で、水はけ・コスト面で有利。特に4寸勾配はデザイン性とコスパが良いので、殆どのローコストメーカーが標準としています。屋根材の制限もなく汎用性が高い。屋根形状も、寄棟・切妻・片流れいずれにも対応がしやすいですが、個性的なデザインは生み出しにくい。

※5寸勾配/瓦屋根  個人的には、寄棟・切妻は5寸勾配以上としたいところ。4寸勾配は特に凡庸な外観デザインになりやすいです。

 

③ 緩勾配(3寸勾配以下)の屋根

最近流行している片流れ屋根によく合う緩勾配の屋根は、私も一番好んで採用しています。

風の影響を受けにくく、屋根面積を小さくでき、施工のしやすさからコストを抑えることができるというメリットがあります。

外観デザイン的にも、水平方向を意識したデザインとなるため、重厚感のある家を計画しやすい。

ただし、急勾配の屋根と比べると雨漏れリスクが高い点、金属系の屋根材に限られることがデメリットです。

我が家も1~1.5寸勾配のガルバリウム鋼板屋根。緩勾配はスッキリとしたフォルムを作ることができるのが魅力。

 

まとめ

一般的には、屋根の形状に目が行きがちですが、屋根の勾配に目を配って頂くと、違った世界が見えてくると思います。

何故、「長期初期保証を付けると緩勾配にできないのか?(瓦屋根を採用する必要があるため=4寸勾配以上でなければならない)」➡「シンプルモダンな外観を目指した家なのに、瓦屋根を採用せざるを得ないため並勾配になってしまっていてバランスが悪いな…」など、これまでとは違った見方ができますよ。

 

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    Takashi Nakata

    Takashi Nakata

    住宅の基本設計と営業をする人|失敗しない家づくりのコツを発信|たまに写真や日常について|職歴:地場HM(大手HM・設計事務所勤務経験有)|実績:建築150棟・内基本設計100棟|1棟1棟丁寧に家づくりをさせて頂いております|間取り相談や家づくり・住まいについてのご相談は気兼ねなくご連絡下さい。

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