

廿日市市|T様邸
敷地面積 | 140.07㎡(41.37坪)
延床面積 | 106.40㎡(32.18坪)
完成年月 | 2017年07月
エピソード
出会いは分譲地の販売会
ご夫婦のご実家が岩国市と広島市という事で、中間地点の廿日市市近郊で土地を探されていらっしゃったTさんとの出会いは、廿日市市の当時売出中の分譲地の販売会でした。分譲主の会社の手伝いで家づくりについてのご相談を受けるという立場で初めてお会いしました。ご夫婦とも…特に奥様が海を感じることができるロケーションがご実家の環境に近いので良いとの事で、海を一望できるこちらの敷地でのご計画がスタートしました。
ご要望のヒアリング – お断りのご連絡
土地を選定されたら、次は建物のご希望のヒアリング。色々とご希望を伺います。「海を感じる家」「ホームパーティをしたい」などなど。その日は、前向きな内容のお話に終始して家づくりについての想いをお話頂く良いお打合せができました(できたと思っておりました)。
しかし後日、ご連絡が…「この土地での計画を進めるのをやめます」。と。
ご両親とのご相談、ご夫婦とのご相談の中で土地のメリット・デメリット(位置・ロケーションなど)を色々と考えられる中で、不安が期待を超えてしまったようです(結構、こういう方多いです!!)。
そこで、私の一言。
「ご提案予定のプランは完成しておりますので、それをご覧いただいてから最終決定されても遅くないのでは??」
我ながらカッコつけ過ぎですね!歯が浮くようなセリフです。今ならそんな事言えません!笑
ですが、もの凄く提案に自信を持っていたので、是非見ていただきたい!という一心からの一言でした。
ご提案 – そして家づくり計画続行へ!
緊張のプレゼン。今でも覚えているドキドキ。結果は「この家に住みたいです!この家に住めるのならこの土地を買います!」という評価をいただき、家づくり計画を続行いただけることに!「この仕事をしていて良かった」と改めて実感できた瞬間でした。
Tさんのご希望
Tさんの新居に対するご希望内容は
- 海を感じることができる家
- 3LDKで良い(リビングに直接接続する部屋はいらない)
- ホームパーティ(家族でBBQ)をしたい
の3つでした。
敷地の状況
「40坪・扇形の角地・道路は広い・眺望は抜群(南側)」とても恵まれた土地です。しかも、特徴がしっかりある土地です!

設計者目線で考えると「とってもポテンシャルを秘めた良い土地」なのですが、東側には隣家がありますし、ものすごく海が近く見えるわけでもないですし、車通りもそこそこに多いしと、なかなかにイメージがしにくい土地であると思います(ご提案を目にされる前にご計画をストップしたくなるTさんおお気持ちもわかります)。
このよう「ダイヤの原石」のような土地は、うまく調理できるかどうかで全く違う家づくりが展開されるので、設計者の腕の見せ所です!(逆に言うと「普通で良いです!」という価値観の方にとっては、誤解を恐れず申し上げると「過ぎた土地」だったりもします)
設計コンセプト
土地の秘めたるポテンシャルを引き出す。ここに全集中です! これは、この土地で家を計画する上で必然であると思えた程です(ですので、プランニング中に現地に5回以上は通いました…笑)。
具体的な考え方としては、
- 交通量が多い(状況)・BBQを楽しみたい(ご要望) → 中庭?2階リビング?
- 海を感じる家に住みたい(ご要望) → 中庭?しかしながら、目隠しフェンスや衝立壁を立てると見えなくなる…
- 隣家に気兼ねなく自然を取り込めるようにできたら…(ご提案) → 家の向き次第??
- 海が見える方向は意外に少ない…(状況) → 家の向き次第???
と言った感じです。
結果
「境界線に対して斜めに配置して2階リビングの家」
というコンセプトにたどり着きました。
境界線に対して斜め?
通常、建物の配置は、とても広い土地でない限りはどこかの境界線に対して平行に計画します。
この方が、家の隅出しが簡単であったり敷地利用効率が良かったりと通常はメリットが多いからです。しかしながら、Tさんご検討のこの土地からのベストビューの方向は敷地境界線に対して45°ズレた方向…ということで、境界線に対して斜めに配置し、海との距離感を少しでも縮めつつ通行人からの視線をカットするために2階リビングのプランにした方がメリットが大きいという結論に達しました。
外観デザイン

境界線に対して斜めに配置したので、他の家と向きが45°ずれています。ずれていますが角地なので景観を崩していません。建物を斜めに配置すると、お庭がいくつもに分割されてしまいますが、「駐車スペース×2カ所」、物置を置く他人から見られたくない「裏庭」、サニタリーから出ることができる洗濯物を干す「家事庭」の4つそれぞれに異なった機能を持たせることで無駄なく敷地を利用しました。
外観デザインでこだわったのが、四角い箱型の家ながら「軒出を出す」こと。デザイン性と外壁の汚れ防止を両立しています。
ツートンカラーとすることで重心を下げ、どっしりとした印象に。水平ラインを強調することで更に重心を下げることができるので大型玄関庇を設けました。
ツートンカラーにするときの注意点は、平面で張り分けしないことと、可能な限り素材感を変えること。この2点を守ることで家の質感がグッと上がります。
T邸では、1階は木目と石目の窯業系サイディング、2階は金属サイディング(ガルバリウム鋼板)と素材を変えた仕上げを選択しました。
インテリア




まとめ
特徴がある土地において、景観を楽しまれたい(特徴を活かしたい!)という方の場合、考えるべきは
「敷地のポテンシャルを最大限に引き出すことに全集中」
これだけです。
「景観はすぐ飽きるから見なくなる」とお考えの方も多いですが、これは「カーテンを開けないと景色が見えない」とか「屋上に上がらないと景色が見えない」家のイメージしか持っていらっしゃらないからではないかと思います。
「日常生活の中で自然に目に入ってくる景色」は、生活する人のQOLをグッと引き上げてくれます。
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