建築費用以外にかかる隠れたお金まとめ|家づくりで想定外の費用一覧

こんにちは! T.Nakataです!

「注文住宅は【土地価格】+【建物価格(坪単価×延床面積)】で予算が出せる」と思っていませんか?

例えば、2,000万円の土地を見つけたとします。モデルハウスに出向き、営業マンに「建物の坪単価はいくらですか?」と聞き「80万円です」と聞いて、

土地価格(2,000万円)+建物価格(80万円×30坪=2,400万円)
= 総額 4,400万円で家を建てることができる!

と計算してしまいがちですが…これはNG。

実は、建築費用以外にかかるお金がたくさんあり、それを見落とすと簡単に予算オーバーします。

この記事では、家づくりの隠れた費用を一覧でまとめ、相場や注意点を解説します。
これから注文住宅を検討している方は、ぜひ資金計画の参考にしてください。

目次

住宅業界の常識は世間の非常識

家づくりの隠れた費用をお話する前に、住宅業界の常識は世間の常識とズレていることが多々ありますので、まずはそこからお話します。
住宅業界の独自の習慣が皆さんと住宅会社との大きな認識のズレとなってしまうことがあるので、まずは以下の点に注意が必要です。

住宅業界の常識 ① | 住宅会社が価格や坪単価を言う時は「税抜」が殆ど

皆さん注文住宅を検討する際に「坪単価」や「住宅の価格」が気になると思います。モデルハウスで営業マンに「坪単価はいくらですか?」と聞かれる方も多いと思います。
この際に住宅会社が答える「価格」や「坪単価」は、ほぼ確実に「税抜」です。
2021年4月から消費税は「増額表示」が基本ルールとなっていますが…何故か住宅業界では「税抜」での会話が当たり前という習慣が変わっていません(2025年9月現在)。
景品表示法の関係で、広告表示についてはキチンと「税込」表示されていますが、口頭での話ではわざわざ「税込みです」と言わない場合は「税抜」であると思って良いと思いますので注意しましょう。

住宅業界の常識 ② | 建物価格に含まれる範囲が住宅会社によってバラバラ

住宅は物凄くたくさんの部品からできています。また、住宅の見積もりは非常に複雑です。
一言で「建物価格」と言っても、住宅会社によって含まれている範囲がバラバラなので、単純に建物価格や坪単価「だけ」を聞いても何の参考にもならないので注意が必要です

住宅会社によって含まれたり含まれなかったりする項目の代表格を2つご紹介します。

屋外給排水工事費用

一般の方には聞きなれない費用かと思いますが、建物価格から見積もり上外される代表格がこちらです。
家の内部と、水道メーターや公共マスの間に水道管を設置する工事で、「家の外の配管工事だから建物価格に含めないで良いよね?」と外す会社が多いです。
屋外給排水工事にかかる費用は、水道メーター(道路)から家までの距離によって変わるので一概には言えませんが、建築工事費用の5%程度が相場なので、2,000万円の家を建てる場合であれば、2,000万円×0.05=100万円程度が屋外給排水工事費用としてかかります。

仮設工事費用

こちらも、建物価格から見積もり上外されることが多い費用です。仮設電気・仮設水道・建築中の駐車場・足場・ガードマン・仮囲いといった費用は、「建築が済んだら無くなるものは建物価格に含めなくて良いよね?」と外してしまう会社も少なからず居ます。
仮設工事費用は、建築する敷地の状況・建物の規模によって変わってきますが、建築工事費用の5%程度であることが多いので、屋外給排水工事費用と同じく、2,000万円の家の場合であれば、100万円程度かかる計算となります。

税抜か税込か? 建物価格にどの範囲まで含まれているか?の確認は最初にしておきましょう

以上の、①消費税 ②屋外給排水工事費用+仮設工事費用 の2項目だけでも、2,000万円の家の場合であれば400万円ズレてしまうことになります。

住宅展示場に足を運び、各モデルハウスで「坪単価いくらですか?」とだけ聞いて回ると、簡単に20%程度のズレが生じてしまいますので、住宅業界の常識を最低限2つだけでも頭に入れながら情報収集を始められることをおススメします。


✅ 建築費用以外にかかるお金とは?|ここからが本題です

住宅会社の見積書に載る「本体工事費」だけでは家は完成しません。
実際には以下の費用が別途必要になります。

  1. 契約・手続き費用
  2. 土地関係の費用
  3. 工事中に発生する追加費用
  4. 入居前後に必要な費用
  5. 入居後に毎年かかる維持費

👉 この「諸費用」や「付帯工事費」と言われる費用を含めて資金計画を立てるのが大事なポイントです。

もっと掘り下げてご説明いたします。


1. 契約・手続き関係の費用

注文住宅では、契約やローン関連の手続きで費用が発生します。

  • 印紙税 … 契約書に貼付します(数千円〜数万円)

平成26年4月1日から令和9年3月31日までに作成された請負契約書については、軽減措置があるため、一番多いと思われます1,000万円超5,000万円以下の方については、1万円となります(令和7年9月現在)。 詳細はコチラ(国税庁HP)

  • 登記費用… 土地や建物の所有者の情報などを国が管理する登記簿に記録する費用。土地・建物が誰のものであると第三者にも分かりやすく示し、安全な取引を可能とすることが目的です。住宅建築に際して主に関係がある登記の種類は以下の通りです。

 ① 表題登記(約10万円)|新築した建物について、その物理的な状況(所在、構造、床面積など)を始めて登記記録(登記簿)に記載する登記
 ② 保存登記(約10万円)|新築の建物など、誰も所有権の登記をしていない不動産において、初めて行われる所有権の登記
 ③ 抵当権設定登記(約15万円)|住宅ローンなどお金を借りた際に、その借入の担保として不動産に抵当権(担保権)を設定し、その旨を登記記録(登記簿)に記載する登記
 ④ 所有権移転登記(土地価格の凡そ1-1.5%程度)|土地の売買や相続、贈与などによって不動産の所有者が変わった際に、その事実を登記記録(登記簿)に記載する登記
 ⑤ 滅失登記(約5万円)|古家を解体した際、権利や事項を不動産登記事項から削除する登記

  • 住宅ローン関連費用 … 近年は、住宅ローンの保証料(住宅ローンを万一返済不能となった時、保証会社が金融機関へ借入残金を払ってもらうための耐火として支払う費用)を分割(金利上乗せ)するのではなく、一括払いにされる方が多くなっています。銀行の商品体系も、一括払いを促すような金利設定にしているケースが多く、保証料を事務手数料と名前を変えて一括払いが必須となる商品が増えてきました(保証料と事務手数料は一見同じように見えますが、性質は全く違います。詳しくご説明すると長くなりますので本稿では割愛します)。この影響で、住宅ローン関連費用が最近高くなりがちです。

 ① 事務手数料・保証料|一括払いの場合は、住宅ローンの借入金額の2.2%の金融機関が多いです。5,000万円の借入の場合は110万円となります。
  分割払い(金利上乗せ)形式の場合は、33,000円 ~ 55,000円の金融機関が多いです。
 ② 団体信用保険料|住宅ローン契約者に万が一のことがあった際に、住宅ローンの返済が不要になる保険。フラット35以外はほぼほぼ、金融機関負担(金利に含まれる)
 ③ つなぎ融資費用(金利)|住宅が完成する前に必要な費用(土地代や建物中間金など)を住宅ローンが実行されるまでの間に一時的に借りるための短期融資。
  年利1~3%程度を日割り計算した額が必要(目安30万円~50万円)

👉 以上の費用は「建築費用に含まれない費用」の代表格なので要チェックです。


2. 土地関係の費用

土地付き建売でも注文住宅でも、土地条件によって追加費用が発生します。

  • 地盤調査費用 … 殆どの住宅会社は建築費用に含めていると思いますが、建てようとする建物の重さに土地が耐えられるかを調べる調査です。5万円くらいが目安です。
  • 地盤改良費用 … 地盤調査の結果、軟弱な地盤と判定された場合、鋼管杭を打つなど地盤を改良する工事が必要となります。予算取りを行う上での目安は木造の場合は100万円程度で、建物の規模・支持地盤の深さによっては200万円以上かかることもあります。
  • 上下水道引込費用 … 敷地内に給排水・雨水設備がなければ、引込工事が必要となります。前面道路に下水管が通っていないエリアでは、浄化槽を設置する費用が必要となります。また、建て替えで既に給水設備が引き込まれていても、既設管が老朽化していたり口径が小さかったりする場合は引込直しが必要となります。費用の目安は100万円です。
  • 境界確定費用 … 法務局に測量図の備え付けがない場合(過去、家屋調査士によって境界の確定が行われた記録のない敷地の場合)、測量を行ったり隣地の地権者との立ち合いを行い境界を確定する必要が出ることもあります。費用の目安は50万円~100万円です。
  • 家屋の解体費用 … 建て替えの方や、古家付きの土地を購入された方は家屋などを解体して更地にする費用が掛かります。木造の家屋の解体費用の目安は4万円/坪で30坪程度の建物を解体する費用は120万円。加えて、庭木や門塀の撤去・土間コンクリート斫り・廃材の処分費用など含めて150万円-200万円くらいが予算の目安です。注意点は、古家が鉄骨造や鉄筋コンクリート(RC)造の場合。解体費用が木造よりもかなり多額になります。
  • 造成費用 … 道路から土地にスムーズに入れない土地の場合(水路をまたいでいる場合・道路と土地に高低差がある場合など)、土地を造成する工事が必要となります。
    例とその費用の目安を挙げると
    ① 水路を塞ぐグレーチング設置・受けのコンクリート打設(幅6m程度)|50万円-100万円
    ② 水路に床板をかける(幅6m程度|長さ4m程度)|200万円以上
    ③ 土鋤取り|20cm程度・165㎡程度|20万円
    ④ 擁壁工事(CP(型枠)ブロック5段積・10m程度)|40万円
  • 仲介手数料 … 土地を購入される方の多くの方は、不動産屋さんに支払う仲介手数料が必要です。費用は、土地価格の3%に6万円を加えた額に消費税を足した金額です。2,000万円の土地で72万6千円となります。

👉 この「土地関係の費用」については、地盤調査費用以外はそれぞれの土地の状況に応じて変わりますし、かなりな高額となる可能性があります。
  ある程度の目安の金額を知るには住宅会社に調査してもらう必要があります。


3. 工事中に発生する追加費用

本体価格の見積もりには含まれていないことが多い項目はコチラ。特に外構工事費用は最近は多額となる傾向があります。

  • 外構工事費用 … 駐車場・フェンス・庭など(200〜500万円)

注文住宅において外構工事はとても大事です。建物そのものよりも先に目に入り、家の雰囲気を決定付ける大きな要素になるからです。カーポートや周囲からの視線をカットする目隠しフェンスなども外構工事代金に含まれます。

  • 照明・カーテン代 … 間接照明や木製ブラインドなど、高額になりがちな照明・カーテン計画をご希望される場合、しっかりと予算組みをしておく必要があります(70万円 – 100万円)
  • オプション工事費用 … 契約後に大きく金額が高くなりがちなのは、設備機器(キッチン・洗面化粧台・バスルーム・トイレ)のオプション、続いて造作(建具・家具)工事です。窓の追加やサイズ変更・建具の追加なども大きく価格に関わって来ますので、ご契約前の見積もりにある程度ご希望を反映した状態にしておくことをおススメします。
    網戸やコンセントが全てオプションとなっている住宅会社もあるので注意しましょう。

4. 入居前後に必要な費用

新居に住むためには、生活に必要な準備費用もかかります。以下は、住宅会社の建物価格に含まれないのはもちろん、概算の諸費用あたりまで網羅した「資金計画書」にも含まれていない(予算取りしていない)ことも多い項目です。

  • 引っ越し代 … 数万〜十数万円
  • 家具・家電購入費 … 冷蔵庫・洗濯機・エアコンなどで100万円近くかかる場合も
  • アンテナ・ネット回線工事 … 数万円

👉 「家づくりで想定外の費用」の多くが、この入居前後のタイミングで発生するので注意が必要です。


5. 入居後に毎年かかる維持費

建てて終わりではなく、住み続けるための維持費も考えておく必要があります。

  • 固定資産税・都市計画税 … 毎年数万円〜数十万円
  • 火災保険・地震保険料 … 最長5年ごとに更新、年間3万円〜5万円程度目安
  • メンテナンス費用 … 外壁塗装や屋根修繕など。使用する素材・機器によって1回目のメンテナンスのタイミング・価格は様々ですが概ね、10〜20年ごとに大規模修繕が必要となります。

📝 家づくりのお金についてよくある質問(FAQ)

Q1. 注文住宅の本体価格とは?
A. 建物を建てるための「本体工事費」のみを指すことが多く、外構・照明・カーテン・諸費用は含まれません。また、住宅会社によって含まれる項目がバラバラなので「何が含まれていて何が含まれていないのか?」の確認が必要です。

Q2. 建築費用以外にどんなお金がかかる?
A. 登記費用・ローン手数料・地盤改良・外構工事・引っ越し費用など、多岐にわたります。

Q3. 家を建てるときの諸費用の目安は?
A. 一般的に本体価格の15〜20%程度。2,000万円の家なら300万〜400万円が目安です。


まとめ|建築費用以外の費用は1,000万円以上

  • 注文住宅には建築費用以外に多くの隠れた費用がかかります。インフラなど整備された優秀な土地であっても、「建築費用(税抜)+土地価格」に加えて1,000万円程度で、土地関係の費用が更に加わってくるという認識でOKです
  • 契約・土地・工事だけでなく、入居時にかかる費用と維持費まで幅広く把握することが重要です
  • 予算オーバーを防ぐには、以下の3つに特に気を付けるようにしましょう。
    ① 建物本体価格はどこまで入っているか?を細かく確認する
    ② 土地関係の費用を早い段階で住宅会社に調べてもらう
    ③ 採用する可能性が高いオプション工事費用はなるだけ早い段階で見積もりに入れてもらう

👉 家づくりの費用で後悔しないために、隠れた費用までしっかりチェックして計画を立てましょう!

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    この記事を書いた人

    住宅の基本設計と営業をする人|失敗しない家づくりのコツを発信|たまに写真や日常について|職歴:地場HM(大手HM・設計事務所勤務経験有)|実績:建築150棟・内基本設計100棟|1棟1棟丁寧に家づくりをさせて頂いております|間取り相談や家づくり・住まいについてのご相談は気兼ねなくご連絡下さい。

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