こんにちは! T.Nakataです!
最近では、大半の方が「リビング階段」をご希望されます。
この記事を作るにあたって、僕が過去に家づくりのお手伝いをさせていただいたお宅の事例の玄関階段写真を探しましたが、あまり見つかりませんでした💦
上の写真は最近建物が完成して12月にお引渡しのお宅ですが、1階リビングのお宅としては久々の玄関階段の家です。
このお宅のお施主さまもそうでしたが、「玄関エリアに階段を持ってきたい」というよりは「(熱効率などが気になり)リビング階段が嫌」だから「結果、玄関エリアに階段が来た」というケースが多いのが、玄関入ってすぐの階段。
折角玄関エリアに階段が来るなら、そのメリットを活かして魅力的な空間にしたいですよね。
本稿では、玄関入って直ぐの階段とリビング階段のメリットデメリットを比較しながら、玄関入って直ぐの階段の魅力の引出し方についてお話致します!
この記事は以下のような方におススメです
- 玄関入って直ぐの階段とリビング階段で迷われている方
- リビング階段の採用の是非で迷われている方
- 玄関入って直ぐの階段を作る時の注意点を知りたい方
では始めます!
リビング階段のメリット・デメリット
最近では殆どのお宅がリビング階段です。特に子育て世代の方が「家族のコミュニケーションが増える」という理由でリビング階段を希望されることが多いです。
同時に「エアコンの効きは大丈夫?」という不安を持たれている方も多いです。
結論から申し上げますと、キチンと(間取り・住宅性能を)プランニングされたリビング階段であればエアコンの効きは大丈夫ですが、リビングに階段が無い場合と比べてLDKの熱環境的には不利であることには違いないので、メリットデメリットを天秤にかけて採用を検討されることをおススメします。
メリット | デメリット |
---|---|
〇 LDKが広く感じる 〇 家族の雰囲気を感じる・動きを把握しやすい 〇 吹抜けとの相性が良い 〇 オシャレ | 〇 家族のコミュニケーションが増える LDKの熱効率が悪い × 子ども(の友達)がLDKを通って部屋に行く × 音や匂いが伝わりやすい × プライバシーの確保が難しい | ×
× LDKの熱効率が悪い
注目はLDKの熱効率が悪いという点。皆さんこの点を凄く気にされますが、最近の間取り・家づくりのトレンドは「小さく建てて広く住まう」「ワンルームライクな家づくり」です。
近年、急速に住宅の断熱性能・気密性能が向上しています。特に昨年(令和4年)、省エネ性能に係る上位等級(断熱等等級6・7)が新設され、この流れが一気に加速してきました。
弊社でも、
・ 窓サッシ | 樹脂複合サッシ ➡ 樹脂サッシ (ペアガラス ➡ 一部トリプルガラス)
・ 断熱材 | ロックウール ➡ 発砲ウレタン or 高性能グラスウール
といった標準の仕様変更を行い、断熱性能・気密性能の向上対策を行いました。
※ 標準 ➡ 最低基準
これにより、リビング階段を設けることによる熱効率の低下を軽減する効果がますます高まっており、LDKを冷暖房する、という考え方から「家全体の冷暖房を考える」にプランニングに変化がうまれ、「部屋を細かく区切る」のではなく「ワンルームライクな間取り」を目指すプランニングに変化してきています。
上の写真の中央少し右あたりに見えるのは、吹抜けに面した2帖程度の書斎ですが、天井から20㎝程度壁を下げて空間を設けています。これは、リビングのエアコンを室内に取り込むためです。LDKだけを考えた熱効率では不利に働きますが、なるだけ少ない台数のエアコンで家全体を暖める(冷やす)ことを優先した結果のアイデアの一つです。
ただし、注意点が一つあります。
最初に「キチンと(間取り・住宅性能を)プランニングされたリビング階段であれば」エアコンの効きは大丈夫と条件付けさせていただきました。
「窓からの日射取得や窓からの熱損失など、バランスの良い窓計画(日射取得計画)」をもとにプランニングしないと夏熱くて冬寒い家になってしまいます。敷地に余裕がある場合は軒出をしっかり出す、余裕がない場合はカーテン類も上手く利用しながら採光計画を考えることが大事になります。
× 音や匂いが伝わりやすい
これも良く言われることですが、音や匂いが伝わりやすいのは物理的にどうしようもない部分ではあります。
・ 夜勤がありリビングの音が聞こえると眠れない方
・ 家族と適度な距離感を保った生活スタイルを希望される方
などについては、リビング階段や吹抜けの採用は慎重になられた方が良いと思います。
玄関に入って直ぐの階段のメリット・デメリット
基本的には、リビング階段とはメリット・デメリットが真逆となります。
メリット | デメリット |
---|---|
〇 LDKの音や匂いが伝わりにくい 〇 プライバシーの確保がしやすい | 〇 LDKの熱効率が良い× 家族のコミュニケーションが少ない(L階段比) × LDKが広く感じにくい(L階段比) × 家族の動き・雰囲気を感じにくい |
個人的にはメリットよりもデメリットの方が大きく感じてしまいます。
ですので、単に「(熱効率などが気になり)リビング階段が嫌」だから「結果、玄関エリアに階段が来た」というプランはとても勿体なく感じます。
玄関入って直ぐの階段自体を否定するつもりは全くないです。
どうせなら玄関入って直ぐの玄関を活かしたプラスアルファを取り込めたらと考えたいです。
玄関入って直ぐの階段ならではのプランニング
リビング階段はコンパクトな家でもLDK空間を充実したものにしてくれますが、その分玄関エリアやその他の空間は貧弱になりがちです。上の写真のように「抜け感」を意識しないと、「玄関+ホール=3帖」➡「すぐにリビング」になってしまいます。
限りある敷地に限りあるスペースを割り当てる必要があるので「玄関エリアが3帖」が悪いと言うつもりはありませんが、玄関エリアの優先順位が下がりがちになるのはリビング階段の宿命の一つです。
その点、玄関に入って直ぐの階段は必然的に玄関エリアのボリュームが大きくなるので、これを活かさない手はないです。階段の上は自然と吹抜けとなるので、玄関エリアの天井も高くなりますし、土間エリアをあまり広く取れなくても抜け感のある風格のある玄関スペースを演出することができます。
上の写真のお宅は、最初の8段分をオープン階段、9段目以上を箱階段として階段下スペースをトイレとして活用。玄関に入って奥面に地窓を設けて採光し、明るく広々とした玄関スペースを演出しました。
まとめ
最近の間取り・住宅性能の変化・向上により、階段を設ける位置についての考え方にも変化が出て来ており、気軽にリビング階段を設けることができるようになりました。玄関エリアに階段スペースを持ってきた方がデメリットが大きいですが、その分、玄関入って直ぐの階段ならではプラスアルファの要素を取り入れ、魅力的な階段とすることを目指したいですね。
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