Bridge House|2つの吹抜けのある家

広島市安佐南区|O様邸


敷地面積 | 182.20㎡(55.11坪)

延床面積 | 117.13㎡(35.43坪)

完成年月  2023年12月


東南角地にこだわられていたご夫婦が選ばれた北側道路の敷地

Oさんと初めてお会いした時「東南角地が絶対条件」の土地探しをされていらっしゃいました。理由を伺うと“かつてお住まいの家が北側道路で日当たりに難があったから”とのこと。その他家づくりに対する想いを伺う中で「Oさんに最適なのは道路から多少の段差がある北側道路の眺望の良い敷地」と直感しました。そこで、ファーストプレゼンの際、あえて北側道路の敷地をチョイス。一般的?な

南側を中途半端に開けただけのプラン

のプランと、

南側を開けることにはこだわり過ぎず、吹抜けを設けて上部から直射を取り込みつつ、北側にも大きな吹抜けを設ける2つの吹抜けのあるプラン

の2つのプランをご用意しました。

かつて住まわれていた前者のプランと、秘めた可能性を感じる後者のプランを比較いただき、「北側の安定した光」の魅力と可能性から北側道路の眺望の良い敷地への建築を決断。

結果、周りの家の存在を全く感じない、開放的な家」に大満足。

2軒目の家づくりのOさんだからこそ、1軒目に建築した家との比較を行いながら新しい家へのデザイン・性能・素材のご要望を明確・適格に作り手である僕と共有できたことが、満足度の高い家となった一番の勝因でした。

北側の道路から少し段差のある敷地

Before

新しい分譲地でのご計画。周囲の家がどのような家を建築するかが見えてこない中でのプランニング。こんな時は「最悪のパターン」を想定してプランニングを行います。つまり、3方の隣家全てがギリギリまで家を建ててきた場合を想定。それでも採光でき、隣家の視線をカットできる間取りを考えます。

After|北側道路の家と思えないくらい道路側に大きな複数の窓がある外観デザイン

全面から見下ろされる環境にあって、全ての視線をカットするのは難しい。ならば中途半端に外に開くプランは合わないと判断。

「上方に”抜け”を作る大きな吹抜け」「里道からの視線をカットするための中庭」を採用しました。

駐車・駐輪スペースともにしっかり確保
全体的にシャープな印象ながら、軒天-袖壁と続く木目で柔らかさも加えた

INTERIOR|インテリア

コンパクトにまとめながら、前庭とリビングと曖昧に繋がりを持たせることで広がりを感じる玄関スペース
間仕切りをなるだけ無くし、存在感を隠し、各スペース同士繋がりを感じるような「しかけ」のある家。天井のつながり感もその1つ
DK+Lスタイルの間取りなので、ダイニングとキッチンにつながり感が出るように天井に変化をつけた
南側は奥さまご希望のちょっとした家庭菜園と物置を置くスペースに。隣棟間隔は冬場でも吹抜け部の窓からリビングに光が入ってくる程度の距離におさえた
北側道路側の景色。道路から段上がりになっている土地。道路の先は崖で、将来も建物が建つ心配がない開放的なロケーション

大きな吹抜けの是非について

吹抜けについては、熱効率を理由に否定的な意見もまだまだ多いです。

物理的に暖かい空気が上に向かっていくことは避けられないので、吹抜けがある家は無い家に比べて熱効率的に不利なのは事実です。しかしながら、ここ数年断熱についての認識が業界全体で変わってきており、今では弊社も樹脂複合サッシから樹脂サッシに完全にシフトしました。5年前くらいは「広島ではトリプルサッシはオーバースペック、不要です」とお客さまに説明していましたが、そのトリプルサッシも大分届きやすい価格に。求められる断熱性能によっては必須なので、私自身も普通に使用するようになりました。とはいえ、まだまだ樹脂窓は従来の樹脂複合窓に比べてバリエーションや対応サイズが少なく、枠の太さなど気になる面は多々あるので、改善していってくれるととても嬉しいのですが…。今後に期待です。

窓サッシを例に挙げましたが、最近では気密・断熱についての正しい(正確?)な情報を手にすることが手軽にでき、どの程度の断熱・気密性能にするにはどのような窓・断熱材・気密施工にすれば良いのか?をある程度予測することが可能になってきました。

ですので、Oさまのように「大きな吹抜けを設け、なるだけLDKと他の部屋をくっつけたワンルームライクな家にしたい」というご希望をいただく機会もとても増えてきました。
各部屋を細かく間仕切り、扉を閉め切った生活を送るのではなく、扉はなるだけ開け放ち、どの部屋に居ても空調が効いている「寒い部屋がない(少ない)家」とするには、大きな吹抜けが必須アイテムとなります。

LDK空間の空調を右手の部屋(趣味室)に取り込めるように壁を空かしました
写真では分かりませんが、万一エアコン1台で賄えなかった場合に予備としてもう1台設置できるよう、2階の廊下にエアコン用のコンセントを設けています

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    この記事を書いた人

    住宅の基本設計と営業をする人|失敗しない家づくりのコツを発信|たまに写真や日常について|職歴:地場HM(大手HM・設計事務所勤務経験有)|実績:建築150棟・内基本設計100棟|1棟1棟丁寧に家づくりをさせて頂いております|間取り相談や家づくり・住まいについてのご相談は気兼ねなくご連絡下さい。

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