エピソード
Hさんのご計画は所有されるマンションからの住み替えのご計画。最初に家づくりのご相談を頂いてからこの土地を見つけられるまで約半年の時が必要でした。その半年の間、様々な土地をご覧になられる中で「土地に掛けるご予算・どのようなお住まいを建築されたいか」など、色々と優先順位をつける「体験」を重ねてこられました。同時に、その時間の中で「家づくりの計画を進めるなら私で」と私を家づくりのメンターとしてお選び頂きました。そんなある時「この土地をどう思いますか?」とご連絡を頂いたところから具体的な家づくりの計画がスタートしました。
敷地の状況
Hさんの気になられた土地は、古家付きの「クセのある土地」…私の大好物です(オィ)。

① 北東角地
② 高台にある土地(道路との高低差がある土地)
③ 扇形の土地
④ 南側隣地が2m近く高い
⑤ 古家の駐車スペースは縦列2台分(並列駐車の駐車スペースをつくるには造成工事が必要)
中々のクセがある土地です。 ただ、59坪と面積は広く、高台になることで「抜け」をつくることはできそうな予感は感じます。また、「扇形の土地」は「庭を複数に分ける」ことでグッと魅力あるプランニングになる可能性があります。
庭を分けるテクニックについては、以下でご紹介しています。

また、同じような扇形の土地での実例はコチラ。

販売元の不動産屋さんに「建て替えでのご計画のお客様がいらっしゃいますが…?」とお問合せをさせて頂いた時「現地はご覧になられましたか?建て替えには中々に難しい土地ですよ?」と念を押されたのは今でも鮮明に覚えています。
Hさんからのご要望

マンション住まいに慣れているので、広いリビングと寝る時以外は1階で生活が完結できるような間取りが良いです。
マンションはワンフロアで生活ができるので、現在の住まい方を踏襲できるような間取りが良いとご要望されるのは当然のことでした。また、もともとお住まいのLDKがとても広く、それに合わせた大きな家具はそのまま新居に持って行かれたいというご要望もあったため、物理的に広いLDK(家具を入れてジャストサイズのLDK)を確保することも絶対条件でした。
設計コンセプト
これだけクセのある土地の場合、セオリー通りにゾーニング(配置計画)をしても満足いくプランになることは少ないです。
1つ1つ条件を整理して「ゾーニング」にしっかり時間をかけることが重要です。
敷地の特徴を思い出してみましょう。
① 北東角地
② 高台にある土地(道路との高低差がある土地)
③ 扇形の土地
④ 南側隣地が2m近く高い
⑤ 古家の駐車スペースは縦列2台分(並列駐車の駐車スペースをつくるには造成工事が必要)
通常だと、南側をしっかりとあけて庭として、大きな窓を設けて採光する。洗濯物も南側に干すように計画して…と考えがちなところ、
① 北東角地 ② 高台にある土地 ③ 扇形の土地 であることを活かして、お庭を機能別に分けることとしました。
洗濯庭 ➡ 高台で風の抜けが良く周囲の視線がない北側に(普段は、ファミリークローク兼室内物干しスペースに干す)


家の北側に大きな掃出し窓を設けて物干し庭に出るという一見変わったスタイルです。


普段は建物の北東角に設けたファミリークローク兼物干しスペースで室内干しをするスタイルです。
このスペースは、キッチンと洗面脱衣室に隣接しており、家事動線を最短としつつ、来客動線から完全に切り離しています。


普段使いのお庭は東側。キッチンのすぐ前に設けました。 家族でバーベキューを楽しまれたいというご要望を受け、LDKとフラットで出入りできる木目調のタイルデッキを設けました。
タープを取り付けるための金具を窓の上に設置。 周囲の目線をカットすることができます。
また、キッチンから見てお庭は東側となるため、順光で抜け感を楽しむことができます。




並列で駐車できるように駐車スペースを造成して、3台駐車できるように。奥の土の部分には屋外物置を置けるスペース。 南側隣地との距離を3m程度取り、採光の補助に。とはいえ、荷物の搬入用の掃出し窓は設けていますが、1階の窓からの冬場の採光は期待していません。


南側の掃出しは隣家から見下ろされる位置関係にあるので、ダブルのプリーツスクリーンで補助採光&荷物搬入用の窓に。採光のメインは吹抜けからとしています。


隣家との高低差、距離感などを緻密に計算して、LDK全体に効果的に採光しています。
このように、敷地のクセを読み解き、一つ一つ解決していくことで、古家が建っている状況では中々に想像がしにくい家の計画が可能となります。
外観デザイン


道路斜線制限いっぱいいっぱいの中、軒の出があるシンプルスタイル。ツートンカラーで2階を少しオーバーハングさせることで重厚感と変化を生み出したデザインです。目隠しフェンスで囲われた庭には大きなタープを取り付けますが、外観デザインの邪魔になりません。
インテリア


LD+KスタイルのLDK。階段部分にあしらったエコカラットが特徴的。


キッチンからはLDK・お庭・階段スペース・水回り全体を見渡すことができます。


何となく特別感を感じる玄関スペース。こだわりのエコカラットを一面に。


2WAYのシューズインクロークのおかげで玄関スペースはスッキリを保つことができます。
まとめ
クセが強いゆえに、相場よりも安価に土地を取得できました。 そのクセも一つ一つしっかりと紐解き、プランニングに昇華すると魅力いっぱいの家づくりができます。 このように、「土地を見つめたらまず相談」できるメンターを持つことが、土地探し…家づくりの成功への近道です。
DATA
完成年月 | 2022.02 | |
---|---|---|
敷地面積 | 196.29㎡ | 59.37坪 |
延床面積 | 114.19㎡ | 34.54坪 |
家族構成 | 夫婦 + 子ども2人 | |
工法 | 在来軸組工法 | |
内装(装飾) | エコカラット | ハイドア(1F) |
床材 | LIXIL|ラシッサDフロア | |
その他 | クリナップ|ステディア |
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