SNS要素をふんだんに取り入れた家

東広島市西条町|K様邸


敷地面積 | 183.16㎡(55.40坪)

延床面積 |  97.70㎡(29.55坪)

完成年月  2023年3月


エピソード

土地探しも5年近く続けられ、職場の同僚から「まだ家づくり計画中だったの?」と言われたとご自身で仰られていたKさん。とても思慮深い性格の方で、ファンタジスタ藤本さんのブログをはじめ、色々な情報SNSやYouTube で収集されていました。僕自身も、以前から同氏のブログも熟読している一人だったのでこの点で話
が盛り上がった所からスタート。僕の中で過去最高クラスの打合せ回数の家づくり計画が始まりました。

後日談として、藤本さんに実際に取材いただき、ご紹介いただきました!

藤本さんのブログでも取材の模様をご紹介いただいてますので、是非こちらもご覧ください ↓

広島・山口県でオススメの穴場的工務店【延床面積30坪の実例紹介】 | 家づくりにおいて大事なコト (fujimonmon.com)

敷地状況・Kさんからのご要望・設計コンセプト

とは言え、敷地に関しても100%満足!という感じではない様子。と言うのも、北側道路で南側に建物がある土地だったからですが、そのご不安を払拭するために、周囲の環境を詳細に測量を行い、シミュレーションすることからのスタートでした。

どの方角のどの高さと位置に外壁、窓があるかなど詳細にシミュレーション。同時に、どの方角に抜けがあるか?など敷地の特徴をベースに建物に対する条件を整理していきます。その中で、吹抜け・中庭・L型の家というキーワードを設け、Kさんと共有。その中で、

  • 今の家(賃貸)よりも広いリビング
  • 広い物干しスペース
  • 1階でほぼほぼ生活が完結する動線。
  • 回遊動線
  • おかえり手洗い動線
    etc…

その他、たくさんのご要望を箇条書きのようにどんどん話して頂きました。Kさんに限らずですが、SNSで情報収集されていらっしゃる方は、「回遊動線」とか「おかえり手洗い」のように、キーワード的なご要望が多いのが特徴です。

通常、家づくりのメインのキーワードを据えて、そこから全体に広げていくのが間取りづくりのセオリーですが、やりたいコト・欲しいモノの集合体を間取りとしてまとめる、流れとしては逆の思考になるため、全体としてまとまりのないプランになりがちです。

そこで、ご要望をリスト化し、

  • 絶対に必要なもの
  • あると嬉しいもの
  • なくても良いもの
  • 絶対にない方が良いもの

に分類し、優先順位をつけながらまとめていきます。

窓計画は窓マニアの中田さんにお任せします

というありがたい?言葉を頂いたので、窓計画にこだわり抜き、

敷地に逆らわない家

をメインコンセプトに据え、Kさんのご要望を一つのカタチにまとめていきました。

初期段階のLDKプラン。西側隣家との距離を6m以上取り採光しつつ軒を出し、リビング東側に吹抜けを設けて朝~昼の光を取り込む計画。 まだまだ全体的に粗削り。そこから2回のフルモデルチェンジ、マイナーチェンジは20回以上にも及ぶ、プラン変更を経て、最終プランの原型が完成しました。

南側隣家の存在を完全に消しつつ懸念の日当たりをしっかりと採光したプランニング&窓計画。食器棚上部のハイサイドライトは旦那さんが最後まで迷い抜いて、最終的に採用された窓。僕としては不要に感じていましたが、結果は如何に?その後も、インテリア打合せ・電気配線打合せ・外構打合せを計15回以上行い、僕の中で最高記録を大きく更新した家づくりとなりました。

Kさんとのお打合せでは基本、一つ一つに対してその場では結論を出されず、家に持ち帰ってからSNSやネットを見て調べて、次の打合せの時に再度検討する、という流れです。

この場合、気を付けなければならないのが「木を見て森を見ず」になって全体のバランスが崩れないようにすること。

具体的には、

窓の高さを変更する ➡ 周囲の窓とのバランスを調整する ➡ 外構の目隠しフェンスの高さも微調整する

といったように“一つの変更がもとで波及することが考えられる部分にも気を配る”ことが大事になります。
Kさんのお打合せでは、僕は一歩下がってコーディネーターや現場担当にメインを任せて全体の調整役に…という感じで普段と役割を変えつつ、注意を払って打合せを重ねました。

大きい視点 ➡ 小さい視点 に目を移し、最後に大きい視点に戻って、メインコンセプトとの整合性を取るのが、家づくり迷子にならないコツ。

外観デザイン

シンプルな箱型をべースに、正方形を組み合わせたような外観デザイン。軒の出をしっかり出して袖壁と連結して縁取ることで表情を出しました。

インテリア

玄関に入った瞬間スッとのびる綺麗な壁(ホントはスイッチもつけたくなかったのですが、そこは使い勝手を優先)。照明は頭上を照らして眩しくならないよう壁面に近づけて配灯。

目隠しフェンスでプライバシーの守られた裏庭。リビングとウッドデッキがフラットに繋がり、広がり感を強く感じる。窓の高さを絞ったのは、隣家からの視線を完全にシャットアウトするため。実際、ご入居後の取材の際に奥さんが「殆どカーテンはあけっぱなしです」と仰られていました。

少し高めの位置に設けた吹抜けの窓から上質な南側の光がこぼれ、リビングの窓は軒出で夏の直射が室内に入らない。室内に入る光の量を緻密に計算した窓計画です。

南面(左側)隣家が迫っている北側道路の敷地ですが、効果的に設けた吹抜けで十分な日当たり。

旦那さんこだわりの朝日を取り込む(左側の)ハイサイドライト・通風のための南側(正面)の窓・右側の中庭に向かって広がる開放感を出すための大きな窓。

最後まで悩まれた「おかえり手洗い動線」。全体的に普段は扉を解放して生活されているそう。

まとめ

間取り・性能・ディテール・細かいおさまりなど、兎に角SNSで情報をしっかりと事前に仕入れて打合せに挑まれたKさん。僕は普段は「アイデアを出す」役割を担うことが多いですが、Kさんに関しては「Kさんが気になって持ち込まれたアイデアの採用の可否を精査する」という役割にあえて立ち位置を変えて打合せに挑みました。SNSの情報をスマホ1つで手軽に取得できる現在、「その情報が正しいのか?」「その情報が自身に合っているのか?」を見極めるのが難しい側面があるので、リアルで情報を精査してくれるアドバイザー的存在が重要になります。
その点、ファンタジスタ藤本さんのような存在は、今の時代にマッチした存在であるかもしれませんね。

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    この記事を書いた人

    住宅の基本設計と営業をする人|失敗しない家づくりのコツを発信|たまに写真や日常について|職歴:地場HM(大手HM・設計事務所勤務経験有)|実績:建築150棟・内基本設計100棟|1棟1棟丁寧に家づくりをさせて頂いております|間取り相談や家づくり・住まいについてのご相談は気兼ねなくご連絡下さい。

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