こんにちは! T.Nakataです!
かねてより、何度も申し上げている通り、「窓計画」はとても大事です。
「窓計画が上手な設計者がプランニングが上手な設計者」と言っても過言ではありません。
ただ、平面図(間取り)上では、窓の「位置」しか分からず、「高さ」や「カタチ」は立面図や詳細図と並べて見ないと分からないため、「間取りだけでは設計の良し悪しがよく分からない」のが現実です。
(間取り(プラン図)上では、窓の寸法まで記載していないことが多く、窓の具体的なイメージは沸きません…)
(このように、パースで詳細を確認させてもらえれば、どのような窓がどの位置についているか?をイメージできますね)
…最初から話がズレてしまいました。
今回の主題は、窓計画全体のお話ではなく、
窓を取るべきか?壁を残すべきか?
についてです。
大多数の家が「窓を取り過ぎ」問題
一般的には、大多数の設計者とお施主様は「壁があれば”とりあえずの窓”を取りたくなる」のが心情です。
設計者の本音としては、「暗い」とクレームになることはあっても「明る過ぎる」とクレームになることは殆どないので、安全を見て窓や照明を多めに取るためです。
結果、
❶ 採光 ❷ 通風 ❸ 眺望
という、窓の3つの役割の何も持っていない(❶ 採光 の予備?安全?のみ)窓をたくさん取ってしまい、
❶ 周囲の目が気になる ➡ カーテン閉めっぱなし(カーテン代金も意外と高い…)
❷ 西日が眩しい! ➡ カーテン閉めっぱなし
❸ 夏とても室内が暑くなってしまう
❹ テレビの逆光になってしまう!
などなど、窓の直接的・間接的な欠点を複数生んでしまう結果となります。
ただ、この「窓を取り過ぎた」ことによるデメリット、直接的なクレームにならない事に注目です。➡ 設計者がついつい無駄な窓を取ることをやめられない理由はココ。
❶ 周囲の目が気になる
「ガラスを透明からスリガラスに変えると見えません!」「カーテン閉めれば大丈夫!」「だって明るさにはかえられないでしょ?」
でもカーテン閉めたら暗くないですか??
まぁそこは…
❷ 西日が眩しい(暑い)!
ロールスクリーンを付けておきましょう!
高所辷り出し窓には(ハンドルが邪魔になって)付けれないみたいですよ?
まぁ暗いよりはマシでしょう!
…
❸ 夏とても室内が暑くなってしまう
何か夏場リビングがとても暑いんです!!
断熱材はしっかり入れたんですけどね!???
こんな感じで、「窓が多いのは正義」という考え方が浸透しているおかげで、「窓計画に失敗している」ことに気づかないお施主様と設計者…という構図から「窓が多過ぎることによるクレームが少ない」ことにつながり、壁があるとついつい窓を取ってしまう設計者が多い現状を生んでしまっています。
「壁を綺麗に残す」ことのメリット
壁を綺麗に残すことには色々なメリットがあります。
❶ インテリアに幅が生まれる(家具やスタンド照明・グリーンを置くことができる
❷ 陰影を愉しむことができる
❸ 耐震性能の向上
❹ 断熱性能の向上
❺ 室内の温熱環境をコントロールしやすい(西側に壁を設けた場合)
ケースバイケースなので、全てのケースで上記のようなメリットが生まれるとも限りませんが、基本的には性能もデザイン性も向上するポイントになります。
「窓を取ることがダメ」と言うわけではない
「キレイな壁を残す=無駄な窓を取らない」という事は大事です。
ですが、「キレイな壁を残す=窓を兎に角減らす」事ではありません。
最初に申し上げた窓の機能である
❶ 採光 ❷ 通風 ❸ 眺望
の3つのどれかの機能が取れる場合、積極的に窓を設けて欲しいです。
私自身は、このようにダイナミックに壁一面を窓にするようなプランニングが好きです。
周囲の視線をカットできて、安定した光量(軒・方位・周辺環境)を取り込めるのなら、このような窓計画がベストです。
最も、断熱性能や耐震性に配慮する必要があるので、どれくらいの性能の窓を採用するか?なども複合的に検討する必要が当然あります。
まとめ|土地のキャラクターと「どんな生活をしたいか」次第
結局は、「その土地のキャラクター」と、お施主様自身が「どんな生活をしたいか」という2点次第で、窓計画が大きく変わってきます。4方向背の高い隣家に囲われていて「抜け」がある方向が全くない…という、どのような窓計画にしてもダメ…という土地では大きな窓は採用できませんし(そういう土地は殆どないですけど(苦笑))、「いつも直射が当たる明るい生活がしたい!」というお施主様に小さな窓しかない息苦しい家をご提案してもミスマッチです。
極端な書き方をしましたが結局のところ、「お施主様が新居でどのような暮らしをしたいか?」という事をしっかり設計者がヒアリングし、それに合った窓計画を立てることが、家づくりの成功と失敗をわける大きな分岐点になると私は思います。
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